物乞いへの喜捨について@モロッコ

観光客としてモロッコを訪れると物乞いの多さが目に付くでしょう。日本では馴染みのない行為。彼らの為にならないからあげるべきでないと考える人も多いと思います。モロッコの側から思う事をまとめました。

物乞いに喜捨すべき、すべきでない論争によく登場するのがバングラデシュなどでは物乞いで稼ぐためにワザと腕を切り落とすとか目を見えなくされた子がいると言った話です。バングラデシュの状況は全く知りませんが、普通に考えて、子どもに故意にそんなことして警察に捕まらないのでしょうか!?モロッコはその程度の治安、社会の目はあります。

ユニセフ大使・黒柳徹子はどうしたか

前回日本に帰国した際、テレビで黒柳徹子がユニセフの活動でアフリカを訪れたドキュメンタリーをやっていました。信号で車が止まると、数人の子どもが喜捨を求め車間を縫って歩いて来ます。モロッコでも信号停止の度に同じ光景があります。主にサハラ以南のアフリカ難民が多いですが、自分が常日頃体験している状況に、黒柳徹子はどう行動するのか、固唾を飲んで見ていました。

彼女はユニセフドライバーに「こういう時、お金あげないんですか?」と尋ねました。ドライバーは「この子達にあげても元締めがいて、この子のものにならないからあげない。」と答え、黒柳徹子は「そうですか。」と答えてその場面は終了。

車

これについてどう思うかは、それぞれの立場や経験、考えで違うと思います。ユニセフなら子供の貧困への根本的な支援をしているのだから、無数のストリートチルドレンへは個々に対応しないということでしょう。しかし、元締めの元で使われている本人の立場を思えば、そうですかで終わってしまったのには正直物足りなさを感じました。

モロッコでは外国人観光客よりも市井のモロッコ人の方がよほど喜捨しています。それは六信五行にも書きましたが、喜捨がムスリムの義務だからです。神がそう定めている以上、喜捨に対する是非の議論はここには存在しません。問題は誰にどう喜捨するかです。

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喜捨が報われなかったエピソード

以前どこかの村落で、その村出身の成功者が村人に食料を配布(喜捨)すると村人を集めました。噂を聞いた群衆が大量に詰めかけ、将棋倒しになって何人も亡くなったという事故が日本のヤフーニュースにもなりました。現地では前もって大々的に宣伝したことが批判されました。喜捨で名声を得てはいけないとコーランにも書かれているそうですが、善意のはずの行為が大変な事故に至ったケースです。

コロナ禍の中、私が実際に目にしたケースにこんなものもあります。工事現場で日雇いで働く男性達が仕事を待つ場所があるのですが、そこで女性が喜捨を始めました。まとまった額を複数に渡そうとしていたのでしょうか、あっという間に大勢に囲まれ、自分にも寄こせと怒号が飛ぶ事態に…女性は感謝されるどころか逃げるようにその場から去らねばなりませんでした。

モロッコ人でもこのようなトラブルになるとは、喜捨ってやっぱり難しい。

一般的なモロッコの喜捨の方法

町と人々

モロッコ人が通常行う喜捨=サダカは、求められた人に自分が渡したいと思ったら1DH(13円)渡すというものです。これってすごく良い金額だと思います。モロッコでは一食分のパンが1DHだし、その金額なら本当は困ってないのに物乞いする職業物乞いだったとしても騙されたと気にする金額でないし、大きな事をやったと自惚れる金額でもない。別段お金持ちでなくても日常的に出せる。貰う方も多くの人に渡すべきと判断されればそれなりの額になり、社会で回っている小さな思いやりみたいなものだからです。

youtubeで物乞いの是非を問う動画に付いたコメントで、お金は商品やサービスと交換する為にある物だから、物乞いには渡す理由がない。労働してこそお金がもらえる。というコメントがありました。非常に日本らしい意見ですね。それはそれで正論ですが、特にモロッコではそこに入れない人が多数存在するのも事実。社会保障がほぼ無い国でお金が無く、仕事をする能力や身体が無い、と想像すれば本当に恐ろしい事ですよ…

荷車を引く人

白黒でなくグレーが多いモロッコにおいて、物乞いの人々の本当の貧困度を判断する必要は無いし、サダカをする人は神に従って徳を積めるのであって、見方を変えればその機会を与えてもらっていると言えるかもしれません。

先日、マラケシュの日本語塾の小学生に、10年後の自分に宛てた手紙を書く授業を行ったのですが、一人の子が書いた手紙は、将来はお金を沢山稼げるようになりたい。なぜならお父さんが喜捨をしているのを見て、自分も困っている人を助けたいと思ったから。という内容でした。小学生でありながら、困った人の為にお金を稼げるようになりたいとは…!

施しや寄付だけでなく、社会に魅力的な仕事を継続的に生み出せるようになれれば最も良いのですが(これが一番難しい)、そういう気持ちを持てる事が大事ですね!

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