**あなたの知らないモロッコ黒魔術の世界**

カラフルで可愛い雑貨にお洒落なインテリア。突き抜ける青空と陽気な人々。そんなイメージからは遠いけれど、モロッコは知る人ぞ知る黒魔術の国でもあります。AI時代にも未だ人々は黒魔術を信じているし、かけている…!?さすが摩訶不思議の国!少々過激なモロッコ黒魔術の世界へご招待します。

著名人もかけられた黒魔術

元々の起源はアフリカだそうで南部ベルベル人やユダヤ人が行っていたとか。アラブ世界でもモロッコの黒魔術は有名らしいのですが(ドバイの皇太子もモロッコの黒魔術にかかったらしい…)アラブ文化ではないのですね。

著名人でも何人かモロッコの黒魔術にかかったとされている人物がいますが、モロッコで発狂して亡くなったポールボウルズの妻、ジェインボウルズもその一人。レズビアンでもあった彼女は恋人のモロッコ人女性の言いなりになり、財産も正気も奪われたとのことですが、ジェインの家にある一向に成長しない観葉植物の鉢を掘り返してみたら、そこから恋人が隠した『陰毛・乾燥した血液・爪』などが入った袋が出て来たという話が、ボウルズと親交のあった四方田犬彦氏の著書モロッコ流謫に書かれています。怖すぎる!

黒魔術に使われるアイテム

私の夫は爪を切ると必ずゴミ箱でなくトイレに流すのですが、なぜゴミ箱に捨てないのか尋ねると爪などは拾われない所に捨てるべきとの答え。モロッコ人の日常生活に黒魔術対策が浸透していて驚きます。例えば事故があって道路に血が流れると、布で血を拭き取り黒魔術に使われるのを防ぐ為に、血を焼くのだそう。それらを踏まえるとジェイン氏の観葉植物から出て来たのは紛れもなく黒魔術の依り代ですね。

他にもハイエナとかカメレオンとかマジックアイテムは沢山あり、占い師から処方箋のように集める物を教えてもらうとか。マラケシュの旧ユダヤ人街に魔術品を扱うお店がいくつもありました。もう長くあの界隈へ行っていませんが、人々の暮らしに根強く魔術が残っている所を見ると、まだお店はあるのでしょうね…

死者の手でクスクス

私が知っている中で一番強烈なのは、死者の手でクスクスを作るというもの。土葬とクスクスの国ならではwと冗談で済めばいいけど、夫に確認したところ、黒魔術というより見つからない毒として使われるというもっと恐ろしい話に…クスクスは熱く蒸し上がったクスクスを素手で何度もほぐして作るのですが、それを死者の手で行えば遺体の細菌が入り毒となり病になる。すぐに死なないけどその毒を取り除く事はできないし科学的な毒でないのでバレない。妻が死なせたい夫に使うとの事ですよ…!!!

黒魔術から身を守るアイテムは?

クスクスはともかく、いわゆる呪いとしての黒魔術に対抗できるアイテムはあるのでしょうか?邪視を跳ね除けると言われるファティマの手。モロッコ雑貨でも定番モチーフですが、嫉妬からなる邪視はともかく、陰毛やら血やらでかけてくる黒魔術を跳ね除ける力があるとは思えない…(お店でもファティマの手は販売してますが、デザインが可愛いのが売りです♡)

本格的な呪いに対処できるのはやっぱりコーラン。黒魔術を寄せ付けない呪文として使える一節があるそうです。コーランを唱えた水をお祓いに使う事もあるそう。

魔術の目的

一般的によく言われるのは、嫉妬した女性による結婚式の妨害や惚れさせる別れさせるといった恋愛関係。他に商売繁盛のまじない、恨みを持つ人物に災いを呼び寄せる等々です。実際に義妹は娘の結婚式の際、まだ嫁に行っていない親類女性達を恐れて結婚式の日取りを直前まで伏せていました。

花嫁とヘンナ

ヘナも元々は魔除け

身近では他に、アトリエの工房近所で店をやっていた男性が、客の女性に一方的に惚れられ、その後恨まれ、黒魔術をかけられて一年以上家に引きこもり商売できなくなった話など、思い返せば本当に身近に黒魔術の話題がありました。引きこもり男性の件は魔術じゃなくて鬱でしょ?商売上手くいってなかったんでしょ?とツッコミましたが、どうやら女というものは恨みを持つと黒魔術をかけるとモロッコ男性は思っているし恐れているようですw

そう、魔術をかけるのは基本女性なのです。

伝統的に父親や夫という男の意思や財力に左右されてきた女性。力を持たない女達が何かを変えたい時に、藁にも縋る思いでまじないに頼る。女性と魔術の関係には、自分の意思や財力で物事を変えられなかった歴史的背景があるのかもしれません…。

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