【モロッコ地震】元々のアトラスの山の暮らし

今回の地震で最も被害を受けたアトラスの山腹。そもそもどんな所でどんな暮らしをしているのでしょうか。私が実際に知っている山の生活と言えば、昔同期の協力隊員が住んでいたティゲドゥインです。今回の地震では大きな被害は出なかったようですが、アトラスの山の生活がどういったものか、その時の体験を書いてみようと思います。

交通インフラ

基本的に山の集落に住んでいるのはベルベル人。アラビア語とは別言語であるベルベル語(シルハ)を話します。アトラス山脈の峰の中には地図に乗る大きな集落とは別に、星の様に集落が点在しています。

ティゲドゥインで活動していた助産師さんはそこがすでに山の中の小さな町であるにも関わらず、更に山に家を借り、そこから半日歩いて別の集落へ診療へ行っていました。家を借りている集落へは車で行けましたが、切り立った山肌に作られた舗装の無い道路の片側は遮る物が何もない崖。ガードレールもなくハンドルを誤ったら命は無いような恐ろしい道を乗り合いボックスカーで通り、そこから先は徒歩で山道を登って行きました。交通手段としてロバやラバが欠かせません。

日常の買物は週1のスーク

一体どうしてこんな山奥に人が住んでいるのか…放牧の他に多少の農業がある程度でどうやって生計を立てているのかと思います。モロッコの山奥や田舎は、今も伝統的な週に一度のスーク(市場)で買物する生活をしています。ティゲドゥインも普段は静かな小さな町ですが、スークの日には周辺の集落から沢山の人が買物に出て来て、お祭りのような賑わいになります。

医療アクセスのない所

前泊した山の家の集落には、マラケシュから派遣された研修医のような若いモロッコ人男性医師が一人いました。その集落から助産師さんに付いてアフリカの壮大な景色に圧倒されながら登山して半日、日干し煉瓦の家の集落へ辿り着きました。

妊婦や産後間もない女性がいる家を周ります。こんな閉鎖的な所にアジア人が診療に来て、すんなり家へ入れるのかと思いましたが、すでに数年に渡り隊員が引き継いできた信頼があり、みんないつもの人が来たといった感じで、道中も村人に血圧を測って欲しいと声を掛けられたのが印象的でした。

集落の子ども達は小さいうちから子守したり放牧したり、体は小さいのにとても大人びた顔をしていました。

複雑な問題が露呈

そんな厳しい生活環境の中で起きた今回の地震。

現在モロッコでは物資の支援と並行して様々なプロジェクトが動いているようです。被害を受けた地域の学生6000人をマラケシュに転校!などモロッコ一丸となって援助に取り組む姿には目を見張ります。一方で山岳部と都市で被害を受けた建物のデータを官庁が収集し分析しているとのことですが、とある壊滅に至った日干し煉瓦の集落で、住民からブロックや鉄筋を使った住宅を造りたいと要望があったにも関わらず、地元行政が観光の景観の為に許可しなかったという話が聞こえているとか…ブロック造りで耐えられたかはまた別問題として、事実だとしたら、地震経験の無い地域だった前提でも居た堪れない話です。都市と山岳部の圧倒的な格差。今後の再建をどう取り組んでいくのか、モロッコは今までおざなりにしてきた難しい問題にも直面していると思います。

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