20年前のハンドメイド
専門学校で服飾を学んでいた当時『フェアトレード』という概念が世に広まり始め、これをやりたい!と強く惹かれました。民族衣装や雑貨が好きでそんなお店をよく巡っていて、そこで売られている物は現地の人が搾取されない環境で作られた物であるべきだし、買う事で支援に繋がるなんて何て良い取り組みだろうと、NGOを訪ねたりフェアトレードの先駆けとなったピープルツリーの講演会へ行ったりしました。結局新卒採用してくれるフェアトレード機関は無く、唯一新卒でそんな活動ができそうだった協力隊へ参加しました。
日本国内の作家事情としては、ハンドメイド作家のエキスポのようなものや、小さな箱をレンタルして実店舗販売したり、リアルフリマで販売する機会はありました。ネットショップは記憶上無かったし、専門学生としては作家というより自分のブランドを作ってセレクトショップに売り込むみたいなスタイルでした…作り手にとって非常に厳しい時代でしたね!
ネットショップ激増時代
その後、徐々にネットショップが普及し始め、お店も星の数ほど出来ました。作り手にとっては狭き門だったセレクトショップや実店舗を持つことなく直接販売できる時代へ。アジア・アフリカの手工芸品や海外雑貨も個人が気軽に輸入販売できる時代になりました。AtelierFOUKARIができたのもここです。ネットショップ業界では当初SNSが無く、集客が課題に。
minne時代
そして訪れたミンネ時代。気付けば日本中の人がハンドメイドを作って売っている…!(現在1000万人以上だそう!)市場調査や商品分析などしない私から見ても、日本産ハンドメイドが溢れる事で、モロッコでの物作りのハードルは更に上がった気がしました。
ハンドメイド市場がこのように盛り上がった背景にはファストファッションへのアンチテーゼがあるようです。自分自身その考えでこの道へ向かったので、嬉しい動向ではあります。安く作られた大量の物より、ひとつひとつ手で作られた少しの物。生産者としても消費者としてもそんな物を選びたい。スマホアプリやSNSの普及でますます個人が気軽に買付・生産・販売できるようになり、現在は副業としても人気に…
ハンドメイドの今後は
日本のハンドメイドの盛り上がりは、伝統手工芸でなく、自分のデザインしたオリジナルを作る人の母数という意味で世界的にも珍しい状況だと思います。そんな中、アジア・アフリカのハンドメイドはよりデザイン性や質が求められ、日本産ハンドメイドはストーリーやブランディングが一層必要に。更には国内市場だけでなく海外市場へ出ていく流れが必然なのかなと思う今日この頃。
20年前、手仕事と言えば発展途上国の手工芸品であった時代からは、日本産ハンドメイドが新興国で買われる時代になるかもというのは隔世の感がありますが…
そんな時代を見据えモロッコ雑貨、いや自分の物作りは何処へ向かうのか。難しい事を考えると何も作れなくなってしまうけど、何でも作ってみた時代は過ぎ去り、コロナ禍の辺りから作る物や買付ける物により慎重になったと思います。モノやハンドメイドすら溢れた日本に敢えて提供したいモノは何か、『ここでしか売っていない物を作る』という事は開店当初からの前提ですが、物販とは違うことも視野に入れながら答えのない事を考えています。
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