世界の誰もガザでの戦闘を止める事ができずに死者が2万5千人を超えた。そのほとんどが女性と子どもであり、手足を失った子どもだけでも千人を超えたと言われていて、今現在は深刻な飢餓が襲っている。控えめに言って地獄だ。私はライターではないしパレスチナ問題も一般常識の域で、出来ればこんな大きく悲惨なニュースは扱いたくなかった。そのようなことに真剣に目を通して考えれば考えるほど、自分の日常生活の少しの贅沢や楽しみも後ろめたいものになってしまうし、無力感が大きくなるだけだ。
それでもやはり書いておきたいニュースがある。どこの国もこの暴挙を眺めているだけなのかと思われた中、イスラエルがガザでジェノサイドを犯していると南アフリカが国際司法裁判所(ICJ)に提訴したのだ。南アフリカ政府の弁護団は84ページにも及び虐殺の証拠となる根拠を提出し、ICJに対しガザでの軍事行動の停止をイスラエルに命じるよう求めた。
The Take: Why South Africa is suing Israel for genocide in Gaza
South Africa brings Israel to the International Court of Justice with accusations of genocide.
この提訴についてイスラエルが真っ向から反発したのは想定内としても、人権国家としてリーダーシップを取って来たはずのドイツがイスラエルをすぐさま擁護したのには失望した。ドイツは過去の過ちから迫害を受ける者に庇護権を保障していて、以前はシリア難民を大量に受け入れた。しかし相手がユダヤ人国家であるがゆえに虐殺の歴史と現状を整理することができないようだ。イスラエル擁護はドイツの国是なのだと。
そんなドイツに怒りを露わにしたのはナミビアだった。ドイツが20世紀初頭の植民地時代にナミビアで行った大虐殺を正式に認めたのはつい最近の事。その恐ろしい歴史から教訓を引き出せていないとドイツを非難した。
このような流れの中で、今まで欧米諸国がリーダーシップを取って来た民主主義や人権と言った価値観が、どれだけ自分たちに都合の良いものであったかが浮き彫りになったし、南アフリカがこんなに頼もしく存在感を示した事にも驚いた。南アはアパルトヘイトとの共通性をパレスチナに見出し、長年に渡って連帯を示してきたという。
それにしても同胞であるはずのアラブ諸国は何をしているのだろう。(そう思うのは私が素人だから?)近しいが故に戦火を広げたくない等、色々色々あるとは思うけど。実際に今戦火はイエメンにも広がっている。
ガザが破壊されるごとに欧米主導の世界秩序は崩壊して、これ以降、平和という普遍的なものでさえ、世界で価値観を共有できなくなる気がしています。
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