【イスラム法】妻の相続権は7番目!?最後に前妻が勝利した話

モロッコでは婚姻・離婚・相続など家族関係にはイスラム法が用いられます。程度や詳細など難解なイスラム法を論じることはできないので、実際に身近で起きた出来事から相続に関する日本との大きな違いをお伝えします。

これは私も知る夫の友人に昨年起こった出来事です。

サイード47歳。弟と妹がいます。彼は実父と家の前でバイク用ガソリンを売る仕事をしていました。両親はサイードが子供の頃に離婚し、再婚相手が仕事場でもある家に住んでいます。サイードと弟妹はすでに自分の家もあり家庭を持っています。

家を追い出された母と3人の子

実は再婚相手の女性というのが元は父親の不倫相手で、サイードが子供の頃に両親が離婚する原因を作った女性なのです。子供を3人作りながら夫を取られてしまったサイードの母。3人の子を一人で育て大変な苦労をしたでしょう。しかしその後、再婚相手には子ができないまま月日は流れました。

可愛い孫が沢山できたサイードの母は、過去は過ぎ去り幸せに暮らしていたと思いますが、最後に経済的にも勝利することになります。

財産分与、相続権は妻にない…!?

昨年サイードの父が亡くなり、2軒ある家を含めた財産相続の時がやって来たのです。

現在の妻に子がないので、第一相続人は離婚した妻の息子になり、サイードと弟、そして妹に財産が分配されることに。法的にも現在妻としてその家に住んでいながら、なんと相続権のある子供がいなかった為に夫と同時に家まで失ってしまったのです…!イスラム法では既婚男性が死亡した場合、相続権は息子、本人の母親、娘、男兄弟が続きます。(息子以外の順番は不確か)妻は7番目か8番目にやっと順番が回って来るのだとか!ええ~!

相続面からも子供が必要

葬儀の席は前妻とその子供達と家族で埋まり、喪主である現妻は肩身が狭く気まずそうだったとのこと。追い出された家を元夫が亡くなった事で取り戻したサイードの母。因果応報といった感じでしたが、イスラムにおいては財産分与の面でも結婚したら子供が欠かせない事が良く分かる一件でした。息子の財産もその妻でなく母に回って来るというのがすごいですね…

昨今、日本で取り返しのつかなくなった少子化について異次元の対策をなんて話がありますが、イスラムは相続面からも少子化が未然に防がれている気がします。経済成長により夫婦が持つ子供の数自体は減っていますが、結婚すれば子を持たない選択は無いし、お金持ちほど子供、特に息子が必要で、資産家が7人子を作ったがすべて娘で、女が産まれる度に男兄弟が内心しめしめと思って祝いに来るというモロッコの物語を読んだことがあります…。

女性にとっては息子がいれば安泰、いなければ厳しい世界。最初から不動産など妻名義にし、妻が資産防衛するケースも当然ありますが、それで義母との関係が悪化する、もしくは義母が反対して出来ない話も良く聞きます…;夫の遺産など頼らず自分で稼ぐに越したことないですね!しかし稼いだとして妻の財産はどうなるのでしょうか…?当然子供にいくはずですが、同じ様に夫に相続権は無いんですよねっ!?あったら納得いかなーい!あまり考えたくない死後相続の話ですが、身近に起こった出来事がなかなか強烈だったので書いてみました。

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