【モロッコ雑貨】盛り上がる先進国SDGsと生産地のギャップ

日本に来て驚いた事のひとつにSDGsの盛り上がりがあります。日々のニュースでも子どもの学校でもSDGs関連が多い!先進国が環境問題、持続可能な開発に尽力するのは非常に大事な事だと思います。でもそういった社会環境が整っていない国の実情は…?モロッコ雑貨に関わる上で、最近気になる、買い手側が求めるSDGsと生産地のギャップについて書いてみました。

SDGsとは

日々耳にするSDGsという言葉。改めて簡単に言うと「世界中にある環境問題・差別・貧困・人権問題といった課題を、世界のみんなで2030年までに解決していこう」という計画・目標の事です。

2030年までの目標だったんですね…あと7年しかない!達成度ランキングなるものがあり、上位を占めるのはやはり北欧、日本は2022年時点で19位でした。

アルガンオイル

オーガニックなアルガン化粧品

昨年モロッコの原料を卸している日本の業者の方と話をしたのですが、元々ナチュラルな素材が多いモロッコ産原料の中でも、今メーカーから求められるのは更にSDGsな素材という事でした…消費者が率先してSDGsな物を買い求めるのはとても良い傾向ですよね。先進国の作り手・メーカーがそういった商品開発をするのもどんどん広がっていけば良いと思います。

モロッコ側から見てみる…

今度はそんな、はっきり言ってお金のある国の需要をモロッコ側から見てみましょう。そもそもモロッコにはSDGsという言葉も概念も普及していません!

欧米人や日本人は天然染料やら天然繊維やらが大好きだな!あれもこれもそう言うと良く売れるよ。

モロッコは日本のように整備された社会ではありません。食品でさえ産地も加工時期も不明な事が普通です。スークで売買されるものに当然、表示義務はありません。元々アラブ商人と言えば口が達者で世界的に有名ですがwメディナの絨毯屋などは、化学染料で染めたビビッドなラグでも真顔でこのイエローはサフラン、このブルーはインディゴ…などと昔から言います。

商人とお客という「個人のやり取り」ならそれもモロッコのエンタメのひとつでいいかもしれませんが、巨大モールなどで世界に物販できるようになった現在、マスに向けて行われていたらやはり問題だと思います。

界隈では定番の疑惑ですが、サボテン(多肉植物)から取れると言われる繊維、カクタスシルクの存在をはっきり否定している英字ブログがあります。漂白剤で色抜きしたラグがヴィンテージラグとして売られているというブログ記事もあり、これには私もショックでした…

SDGsには手間とお金が掛かる

環境に配慮した物作りなんて、一日も早く現金が必要なモロッコ農村の人々からすればお金持ちの言う贅沢に聞こえるでしょう。昔、ラグの生産者に天然染料で作ればもっと付加価値が上がるのでは?と言った所、普通の毛糸でも材料費が高くて割に合わないのに、とてもそんな事は出来ないと言われました。一方、古着を紐状にして織られたリサイクルラグ『ボシャルウィット』など、昔から意図せずSDGsになっているアイテムも沢山あるのがモロッコ雑貨の面白い所。どれがそうでどれが違うのか、やはり自分の目で生産現場を見なければ!

私自身はモロッコ雑貨は天然の素材であろうがなかろうが、同じく魅力的だと思っています。材料に関係なく手仕事で一つ一つ作られているからです。正直素材よりも作り手の技量が大事と思います。その上で、更に拘って素材に力を入れるならば、生産者の雇用と収入を保証し、生産するところから一緒にやらなくては作れないのだと思います。出来た物を業者を介して買うだけでなく、先進国のメーカーには是非とも生産者に先に投資してほしい…!
そもそもSDGsとは貧困・人権問題の解決も入っているのだから、環境に良い事だけでなくもっと人間にフォーカスして良いですよね。モロッコのような国で必要なのはむしろそちらではないでしょうか。そんな視点に改めて気付けて自分自身も勉強になったSDGsでした。

にほんブログ村 海外生活ブログ モロッコ情報へ

コメント

タイトルとURLをコピーしました